院長コラム

2011年03月01日院長コラム

病児保育室

いつもは保育園に通う子が、熱が出たりして保育園に行かれなくなったとき、どうやって過ごしているのでしょう?
お父さんかお母さんがお仕事を休んで子どもの看護をする、もちろんこれが1番!でも、なかなかそのように手配できる時ばかりではありません。遠くから祖父母に来てもらったり、ベビーシッターを頼んだり、遠くの祖父母の家に預けに行ったり・・・御両親はいろいろ苦労されています。
そんなとき、必ずしも子どもは最善の環境で過ごせるとは限りません。慣れないおばあちゃんがおろおろしながら一日中みていることもあるでしょう。
中には、1人でお家でお留守番、などという場合もあるようです。

子どもが病気になったとき、
 その子がより良い環境で、快適に、楽しい時間を過ごせる場所。
 御両親が安心してお子さんを預けられる保育室。
 そんな保育室を、保育士、看護師、医師等の専門家集団の手で作りたい。
そんな思いで、病児保育室を作ることを決意しました。
病児保育室は、単に子どもが病気の時、保護者に代わって子どもの世話をする場所ではありません。子どもたちの病気の時のユートピアでありたいと思っています。

病児保育を始め、13年。。。今伝えられるメッセージ

病児保育をはじめる計画を立てていたとき、周りの人からは、採算がとれない、とか、責任が重く精神的な圧迫が大きいのでは、とか、いろいろな忠告を受けました。しかし実際やってみると、そのような困難を忘れてしまう、楽しさ、素晴らしさがあることがわかってきました。
お子さんを1日預からせていただくと、いつも診察室では見られないようないろいろな様子が見えてきます。診察室ではお母さんの後ろに隠れて一言もお話ししない子が、病児保育室ではとてもおしゃべりで、踊ったり歌ったりする子だったり、まだ言葉をしゃべらない1才前の乳児どうし、アー、オー、などと指さしあいながら会話をしているところがみられたり・・・。子どもの成長を肌で感じられるのも、小児科医にとっては何よりの喜びです。また、一日数回にわたって病状を観察させていただけるので、病状把握も確実になります。

はじめてもうすぐ13年になります。最初の年、毎月のように利用されていた子どもたちはもう大きくなって風邪も滅多にひかなくなり、代わって他の常連メンバーが通ってきます。風邪ばかりひいて、熱を出さない月がない、という状況は、3才を過ぎるとうそのようになくなるお子さんが多いです。お母さん達、頑張って!

具合の悪い子を抱いて、泣きたくなるような思いで臨時保育の手だてを考えなければならないお母さん達のお役に少しでも立てればと思います。見学をしていただくこともできます。一度見ていただけば、きっと安心してお預けになれると思います。