症状一覧
下痢
どんな病気が考えられる?
下痢や普段よりも緩い便の最も多い原因はウイルス性胃腸炎です。ウイルス性胃腸炎の下痢はなかなかしつこいこともあり、本によって書いてあることもまちまちですが、概ね2週間程度、長いと3週間程度は続くと考えて置いた方がよさそうです。逆に、下痢が続いていても本人が元気で食事も普通食べられていれば、そこまで急いで受診をする必要はないかもしれません。
一方で、下痢の中にも怖い病気が隠れていることがあります。
お熱も続いている場合、血便や腹痛を伴う場合、体重がどんどん減っている場合、本人の元気がない場合などは早めに受診することをお勧めします。細菌性腸炎、虫垂炎、炎症性腸疾患、心筋炎、ミルクアレルギーなど見逃せない疾患が隠れていることがあるからです。
また、1か月以上下痢が続いている場合、乳糖不耐症といった特殊な病気も考える必要がありますので、受診をお勧めします。
どんな検査をするの?
下痢に対して検査が必要なのは、下痢以外に気になる症状がある場合です。例えば腹痛が強い場合には腹部のレントゲン撮影や超音波検査をすることがあります。また、熱も続いている場合や血便が出ている場合には炎症反応を調べるために血液検査をすることがあります。ミルクアレルギーかどうかを調べるためにも血液検査をすることがあります。また、炎症性腸疾患かどうかを調べる際、血液が本当に便に混じっているか判断するため便潜血の検査を行うこともあります。稀ですが、細菌性腸炎(食中毒)の可能性が高いと考えた場合には便の細菌検査をだすこともあります。
これらの検査をするかどうかはお子さんの状態によってするかどうかを判断するので、必要と判断した場合には診察の際にお話しします。
一方、下痢自体に対しては、基本的には検査は必要ないことが多いです。
多くはウイルス性であり、様々なウイルスが下痢を引き起こします(ノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス、エンテロウイルス、サポウイルス、アストロウイルスなどなど・・・)。どのウイルスが原因であっても治療は同じであり、ウイルスの特定にはほとんど意味がありません。そのため検査キットもノロ、ロタ、アデノしか発売されておらず、その適応も限られています(免疫不全者、乳児など)。当院でも便のウイルス迅速抗原検査は行うことができますが、上記の理由からほとんど行っていないのが実情です。(ご希望による検査は受け付けておりません。)
どんな治療が考えられる?
嘔吐に最も有効な治療は、経口補液療法(oral rehaydration therapy:ORT)です。
詳細はホームケアのところで説明します。
ここでは、医療機関でお渡しできる薬について説明します。
整腸剤(ビオフェルミン、ミヤBMなど):
乳酸菌・酪酸菌を飲むことでいわゆる”善玉菌”を増やし、腸内環境を整えることを狙った薬です。すぐに下痢を止める効果はありません。
漢方薬:
小建中湯、人参湯、真武湯などが下痢に効果があるとされています。ただ、いずれも即効性があるわけではなく、下痢に伴う不快感を和らげる程度の効果です。
おしりかぶれの薬(亜鉛華軟膏・亜鉛華単軟膏・アズノール軟膏など):
下痢によってお尻が荒れてしまった場合に、処方します。おむつを変える度に厚塗りすることで効果が期待できます。
止痢薬(ロペミンなど):
重い副作用が起こる可能性があるため当院では原則処方していません。
お家でできる治療
ここでは主に経口補液療法(oral rehaydration therapy:ORT)について説明します。
飲ませる内容:
経口補水液(OS-1など)が理想ですが、アクエリアスやポカリ、ジュースと味噌汁などでもよいです。必ず塩分と糖分を含んだ水分にしてください。
飲ませ方:
1分~5分おきに、スプーン1杯もしくはペットボトルの蓋1杯の量(約5ml)を飲ませましょう。嘔吐がなければ、徐々に1回量を増やしてみてもよいです。
(1分おき、5mlを与え続けると1時間で300ml飲めます!!)
WHOの基準は、「体重×50mlを最初の4時間で」飲ませることを推奨しています。
飲ませる合計量:
上記水分のみで脱水を補正する場合は体重×100ml(最大2L)が1日量の目安です。
もし自宅で様子を見ている間に、ぐったりするまたは極端に不機嫌、呼吸が荒い、黄色から緑色の嘔吐があった、すごく強い腹痛、黒色便、けいれん、受け答えの異常、などが見られた場合には、緊急事態なので速やかに医療機関を受診、もしくは救急要請をしてください。
病気一覧
- ウイルス性胃腸炎、急性胃腸炎
- ノロ
- ロタ
- アデノ
- 細菌性腸炎
- 急性虫垂炎
- 腸重積
- 絞扼性イレウス
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