症状一覧

2024年05月21日症状一覧

便秘

毎日出ているから便秘ではない?
1週間に何日以下だったら便秘なの?
便秘の時に考えなければならない病気はある?

便秘の診断基準は、実は便が出る頻度だけでは決まりません。
①1週間に2回以下の排便
②痛みを伴う便 または 硬い便が出たことがある
③トイレが詰まるような大きな便がでたことがある
④便を漏らしたことが週に1回以上ある
⑤排便を我慢する姿勢をとる または 便が過剰にお腹の中に溜まっている
⑥お尻の出口のすぐ上(直腸)に大きな便塊がある

上記のような症状が2つ以上ある場合には、便秘と診断されます。
また、このほかにも、吐気、食欲がない、お尻から血が出る、口臭が強い、おねしょなども便秘による症状の可能性があります。便秘の治療をすることで症状消失が期待できます。このような場合には是非当院までご相談ください。

便秘があるお子さんでは、直腸に便をためることが習慣化していることが多く、直腸の壁が便で引き延ばされることによって便意が弱まってしまい、さらに便をためる悪循環に陥っていることがあります。また、たまった便は徐々に水分が吸われて硬くなり、出しづらく、出すときに痛くなるので、便を我慢してしまう習慣もつくことがあり、さらに悪循環に陥ります。早めに診断して、悪循環を断ち切ることが大切です。

便秘の背景に治療が必要な病気が隠れていることがあります。具体的には、低位鎖肛、ヒルシュスプルング病、ミルクアレルギー、甲状腺機能低下症などです。これらの病気の場合、便秘に加えて特徴的な症状が出ることが多いので、診察の際に確認します。

どんな検査をするの?

問診・診察の結果、便秘が疑わしいと考えた場合には腹部超音波検査、腹部レントゲン検査などにより便が貯留していないか確かめます。また、浣腸をしてみることで硬い便がないかどうか確かめることもあります。

診察の結果、便秘の背景に治療が必要な病気が隠れている可能性がある場合には、より詳しい検査が必要なことがあります。その場合には大きな病院へ紹介することもあります。

どんな治療があるの?

便秘の治療の目標は、”お尻の出口のすぐ上(直腸)に便がたまらない習慣を作る”ことです。上述した悪循環を断ち切るためには、
①直腸にたまって便の出口をふさいでいる硬い便を出す。
②便を柔らかくして、出しやすくする。
③毎日便を出す習慣をつける。

この三つ手順を踏む必要があります。

浣腸:

当院では、しっかりした便秘と診断した場合、まずは数日間、1日便がでなければ浣腸をしていただいています(①)。その後、モビコール酸化マグネシウムラクツロースなどの便を柔らかくする薬を使っていただきます(②)。一旦便が柔らかくなって治ったと思って薬をやめるとすぐに再発してしまうので、便をやわらかくする薬はしっかり長期間使う必要があります。どのくらい続けるかは、その子の年齢、来院までの期間、症状によっても異なるので、診察の際に詳しくご説明します。

自宅でできることはある?
食事で気を付けることは?

ここでは、小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン(2013年)から、食生活などについての推奨をご紹介します。

①水分はたくさんとった方がいいの?:

実は、水分摂取量と便秘は関係が証明されていません。上記のガイドラインでは、「脱水がなければ水分摂取を増やしても便秘は改善しない」と記載されています。

②食物繊維をたくさんとった方がいいの?:

食物繊維をとったら絶対に便秘に効果がある!と断言できる証拠はありません。ただ、食物線維を全くとらない食事をしていると、理論上は便が出しにくくなる可能性もあります。

③牛乳は飲まない方がいいの?:

便秘のお子さんの中には、牛乳が原因となっている子も混じっていますが、必ず牛乳が原因とはいえません。また、牛乳にはカルシウムが多く含まれ子供の成長にとってはとても大事です。ただし、1日2L飲みます!などの極端な例では、1日コップ1杯までなどと制限したほうがよいかもしれません。また、通常の治療に反応しない場合に、牛乳の制限をこちらからお願いする場合もあります。

もっとも大事なことは、バランスのよい食生活を送ることだと考えています。

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