症状一覧
発熱
夜中に突然お熱が出ると、慌てますよね。
子どもの発熱は、保護者にとって、もっとも<こわい>症状なのではないでしょうか。
◆熱はなぜ出るのでしょうか。
ウイルスや細菌が人の体に感染すると、侵入してきた敵に対して、白血球が反応します。白血球は侵入してきたウイルスや細菌を食べ、他の白血球に対し、敵侵入を知らせる物質や、ウイルスや細菌をやっつける物質を出します。この物質が、脳にある発熱中枢を刺激して、熱が出るのです。
体温が上がると、白血球の働きは活発になり、体は病原体を排除しやすい状態になります。ですから、熱が上がったというのは、体がしっかり戦っている証拠、とも言えます。熱が上がったからといって、むやみに解熱剤を使うのは、あまりよいこととはいえません。
◆しかし、熱が上がったときの子どもの様子はどうでしょう。
真っ赤な顔をして、ぐったりして、呼吸も荒いし、何も飲まない、食べない。
熱が高いときには、皮膚や呼吸から失われる水分が急増しますから、脱水にもなりやすいです。
時には、急な体温上昇により、激しく震えたり、顔色が真っ青になったりすることもあるでしょう。
熱性けいれんをおこすお子さんもいます。
このように、熱が高いことによって、本人の全身的な状態が悪くなってしまうとき、うまく熱を下げてあげるようにすると良いと思います。
◆熱を下げるのには、いろいろな方法があります。
まず、薄着にすること!そして、お部屋も涼しくしましょう。
昔は、熱が出たときには汗を出させると良い、と言って、毛布などでくるんで温めたようですが、これは逆効果です。子どもはますますぐったりし、脱水を進めてしまいます。
首、足の付け根、わきの下、など、太い血管が表面を通っているところを冷やすのは、体温を下げるのに効果があります。(おでこにヒエピタ、はあまりお勧めしません。頭がい骨の上から冷やしても、あまり効果は上がらないし、ヒエピタはすぐ温まってしまいますから・・・。)
また、水分に富んだものをたくさん摂らせましょう。シャーベットやゼリー、果物など、熱でほてったお子さんがのどごしよく食べられる物を工夫してあげて下さい。
◆解熱剤もうまく使うと効果的です。
熱の上がりかけは、解熱剤の効果が上がらないことがあります。熱が上がり始めてぶるぶる震えているようなときは、少し使用を待ったほうが良いかもしれません。ご飯の前1時間くらいに使って、熱が下がって少し元気が出たときに食事をとらせる、とか、ぐずって眠れないときに使って安眠させ休養をとらせる、というようにすると良いと思います。解熱剤の効果は一時的です。下がっている間に全身状態を改善させるように工夫するのが良いと思います。
解熱剤を使うと病気がひどくなるから使いたくない、という方がよくいます。確かに、解熱剤の種類によっては、病気によって悪化させることがあります。インフルエンザとジクロフェナックナトリウム(ボルタレン)、メフェナム酸(ポンタール)、アスピリン、水痘とアスピリン、等です。しかし、今、小児科医がよく使うアセトアミノフェンという解熱剤は、そのような副作用はいまのところ報告されていません。脱水等を防ぐためには、有効な手だてと言えると思います。
◆気をつけなければならない発熱
■3ヶ月以下の赤ちゃんの発熱
3ヶ月以下の赤ちゃんは、免疫力が弱く、短時間のちに重症な感染症に発展してしまうことがあります。発熱に気付いたら速やかに受診しましょう。
■ぐったりしているとき、意識状態がおかしいとき
発熱をきたす病気の中で重症なものに、髄膜炎、脳炎といった中枢神経の感染症、敗血症、重症肺炎などがあります。普通の風邪との鑑別点は、何と言っても本人の状態です。顔色が悪い、ぐったりしていて意識がはっきりしない、呼吸が苦しそう、等の様子が見られた場合には速やかな受診が必要です。
■長引くとき
発熱が5日以上続く場合には、本人の状態がそれほど重症のように見えなくても、肺炎、尿路感染症、小児ガンなど、自然には治ってこない重大な疾患がある場合があります。おうちで様子を見すぎず、医療機関の受診をお勧めします。
お子さんが熱を出すと、お父さん、お母さんは本当に大変ですよね。機嫌が悪くて、ご飯は食べないし、眠らないし・・・。でも、状態をしっかり見極めて対処すれば、本当に慌てなければならない場合はそれほど多くありません。お子さんの経験のひとつと考えて、乗り切れるようにいろいろ手だてを考えてあげましょう。
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