症状一覧

2024年05月12日症状一覧

嘔吐

どんな病気が考えられる?

嘔吐の原因は胃腸炎、便秘、異物誤飲、薬物誤飲、腸重積・虫垂炎などお腹の中の緊急疾患、乳児のお子さんや既往のあるお子さんでは尿路感染症、アセトン血性嘔吐症、低血糖、糖尿病性ケトアシドーシス、心筋炎、髄膜炎・脳炎など非常に多岐に渡ります。「嘔吐した後、若干すっきりする」といった場合には胃腸炎のことも多いですが、必ずそうだとも言い切れません。まずは一度受診されることをお勧めします。

特に、お腹をひどく痛がっている場合や、吐いている物が緑色など普段と異なる場合、ぐったりしており顔色が悪く、嘔吐後もぐったりや顔色が改善しない場合、普段と受け答えが異なる・けいれんした場合などには緊急受診が必要です。夜間/休日でも夜間応急診療所や休日診療所の受診、もしくは救急要請を検討してください。

どんな検査をするの?

必要に応じて、腹部レントゲン、腹部超音波検査、血液検査、尿検査などを行います。腹部レントゲンはお腹の中の全体像、腸の動き、便のたまり具合などが推定できます。腹部超音波検査では、お腹の中に異常な水の貯留がないか、腸が正常に動いているが、腫瘍などがないかを検査できます。血液検査では体の中の血糖値、炎症の値、電解質の異常などを調べることができます。尿検査は尿路感染症を疑った場合に、尿の中に白血球が出ていないかを調べる検査です。

お子さんの状態によっては当院で検査をするのが適切ではないと判断する場合もあります。その場合は詳細な検査および治療が可能な大きな病院へ紹介いたします。

どんな治療が考えられるの?

嘔吐に最も有効な治療は、経口補液療法(oral rehaydration therapy:ORT)です。
詳細はホームケアのところで説明します。
ここでは、医療機関でお渡しできる薬について説明します。

制吐薬:

小児科でよく処方され、当院でも処方することがある薬としてドンペリドン(ナウゼリン)とメトクロプラミド(プリンペラン)があります。ただし、実はどちらも効果があるという確かな証拠はない薬です。また、どちらの薬も、脳にも作用するため、錐体外路症状という神経の副作用が出現することがあり、あまり頻回に利用するのは避けたいところです。   
当院では上記を踏まえて、処方するとしても頓用として、3-5回分のみのお渡しとしています。

漢方薬:

上記の代替薬として、五苓散・小半夏加茯苓湯・六君子湯などの漢方薬に効果が期待できることがあります。特に五苓散は、多くの臨床研究でその効果が証明されており、当院の経験上もかなり効果が期待できます。味が少し特殊なのが難点ですが、桂皮という成分が含まれており、実はこれはシナモンなので、リンゴジャムに混ぜるとおいしく飲めるようです。

お家でできる治療

ここでは主に経口補液療法(oral rehaydration therapy:ORT)について説明します。

飲ませる内容:

経口補水液(OS-1など)が理想ですが、アクエリアスやポカリ、ジュースと味噌汁などでもよいです。必ず塩分と糖分を含んだ水分にしてください。

飲ませ方:

1分~5分おきに、スプーン1杯もしくはペットボトルの蓋1杯の量(約5ml)を飲ませましょう。嘔吐がなければ、徐々に1回量を増やしてみてもよいです。
(1分おき、5mlを与え続けると1時間で300ml飲めます!!)
WHOの基準は、「体重×50mlを最初の4時間で」飲ませることを推奨しています。

飲ませる合計量:

上記水分のみで脱水を補正する場合は体重×100ml(最大2L)が1日量の目安です。

もし自宅で様子を見ている間に、ぐったりするまたは極端に不機嫌、呼吸が荒い、黄色から緑色の嘔吐があった、すごく強い腹痛、黒色便、けいれん、受け答えの異常、などが見られた場合には、緊急事態なので速やかに医療機関を受診、もしくは救急要請をしてください。

病気一覧

  • ウイルス性胃腸炎、急性胃腸炎 
  • ノロ
  • ロタ
  • アデノ
  • 細菌性腸炎
  • アセトン血性嘔吐症、ケトン性低血糖症
  • 急性虫垂炎
  • 腸重積
  • 絞扼性イレウス

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